海外旅行の話になると、「ツアーでしたか?」「個人でしたか?」とよく聞かれます。
人はなぜそんな質問をするのでしょうか?
おそらく、「どちらがいいのかしら?」という思いがあるからですね。
あるいは個人で行ってみたいと思っても、どう準備したらいいのか情報が少ないのかもしれません。
限られた予算で気ままに動きたい私は、個人旅行派。海外に通算6年住んでいたので「慣れ」も少しはあるとは言え、数々の失敗をしながら楽しんでいます。
海外旅行歴は何十年。訪れた国の数は数えたこともありません。
もしかすると初めて個人手配で海外旅行に行こうとする人に役立つのではないかと思い、準備のコツをまとめてみました。
特に、私のようなまだまだ元気なシニア世代におすすめの楽しみ方をご紹介します。
「ツアー」と「個人旅行」のメリット・デメリット
個人旅行の方法についてお話しする前に、「ツアー」と「個人旅行」の海外旅行のメリット・デメリットを見てみましょう。
「海外にツアー」のメリット
パッケージツアーでは、旅行会社が航空券やホテルの手配をしてくれるので、初めて海外に行く方には便利です。

海外旅行保険やVISA、通関手続きなど、細かくフォローしてもらえるので、大切なことをうっかり見落とす可能性は低くなります。何かあった時のトラブル対応も、自分ひとりよりはるかに安心です。
最近では、旅行者のニーズに合わせて変更可能な魅力的なツアーがたくさんあって、選ぶのも楽しみですね。
そう言えば、私もツアーを利用したことがありました。息子が住む国に急に行く用事ができた時に航空券が取れず、ツアーだと空きがあったんです。「航空券+ホテル」のみというプランでお得でした。
このように、ツアーの方が航空券が予約しやすかったり、安かったりということも、行き先や時期によってはあり得ます。
「海外にツアー」のデメリット
パッケージツアーのデメリットと言えば、その日のプランが決まっているので変更ができないところ。もっとゆっくり見たい場所であっても、時間になったら出発しなければなりません。
また、団体旅行の場合、ある人がトラブルにあうと全員が予定変更しなければならない、というケースもあります。
ツアーでパリに行った人の話ですが、パリの空港で一部の人の荷物が出てこなかったために全員が動けず。半日つぶれたため、楽しみにしていた所の観光ができなくなったと残念そうでした。
パッケージツアーの料金については、表示価格が安いと思っても、いろいろとオプションをつけていくと思いがけず高くなってしまうことも。現地の空港からホテルまでの送迎は別料金のこともよくありますね。
安いプランには訳がある?
とんでもない時間に出発する便ですと、空港までのタクシー代が余分にかかることも。
格安の乗り継ぎ便のツアーは、往復にかなり時間がとられる場合も。現地で観光にあてられる時間が実際にどのくらいあるのか冷静に見極めて、「それでも安い?」と考えましょう。
また、ひとり旅の場合は追加料金の確認が大切です。そもそも、ひとり旅を受け入れていないツアーもあります。
「海外に個人旅行」のメリット
その点、「海外に個人旅行」は自由がききます。すべて自己責任で、自分の好きなようにプランを組むことができます。しかも、予定通りに動く必要はまったくありません。気ままに旅を楽しめますね。
「海外に個人旅行」のデメリット
「海外に個人旅行」のデメリットは、すべての手続きを自分でやらなければならないこと。航空券やホテルの手配をはじめ、旅行先の情報を集める必要があります。
「旅行が好き!」という人は、おそらくこの段階から楽しめる人ではないでしょうか?
また、旅行中のトラブルに自分で対処しなければなりません。そうなると英語力や交渉力を想像するかもしれませんが、まずはトラブルを避ける知恵を身につけることが大切です。
個人旅行で海外に行く計画を立てよう!
海外への個人旅行、特に初めての場合は、何から手をつけたらいいのか迷いますよね。何十回も出かけている私の経験が参考になれば嬉しいです。
日程調整
自分やいっしょに行く家族・友人と日程を調整します。
旅先の気候や大きなイベントなども考慮して選んだ方がいいでしょう。小さい街の場合は、たまたま何かのイベントと重なるだけでも、ホテルが取りづらくなる場合があります。
航空券の手配
海外への個人旅行の場合、当然ながら飛行機は自分で予約します。初めての場合、ここが緊張するところかもしれませんが、まずは航空券を押さえましょう。
早い段階で予約する時に大切なことは、変更についてどれだけ融通がきくかということ。変更ができるのか、できる場合いくらかかるのかを確認してから予約します。
航空券については、条件を入れて料金を比較するサイトが便利です。
私はskyscannerというサイトを利用しています。

カタール航空
ヨーロッパに行くには、カタールなど中東経由が安いです。現役世代は乗り継ぎに時間がかかる便はなかなか選べませんが、定年退職後で時間があればそれもOK。
また、意外と知られていないことですが、航空会社のキャンペーンなどがあると、直接予約がびっくりするほど安いこともあります。
2019年7月現在でしたら、キャセイパシフィック航空が日本就航60周年のキャンペーンをやっています。
宿泊先の予約
航空券を押さえたら、宿泊先も検討しましょう。
予約のタイミングは?
海外への個人旅行の場合、一般的には航空券を最初に予約すると言われています。実は私はBooking.comでホテルを先に予約していることの方が多いです。
なぜかと言うと、何ヶ月も前に予約が可能で、無料でキャンセルできるからです。つまり、もっと良い宿泊先を見つけた時にも変更ができます。
キャンセルの期限はそれぞれ明記されていますので、もし旅行が取りやめになった時にキャンセル手続きだけは忘れないようにすることが大切です。
宿泊先はどうやって選ぶ?
海外への個人旅行で、航空券とともに気になるのが宿泊先の予約。初めての人にとって悩ましいところです。
英語が苦手でも、今はBooking.comなどで日本語で予約ができます。
宿泊先を選ぶ条件は人それぞれ。予算、交通の便、治安、広さ、清潔さ、レストランの有無など、いろいろ考えられますね。
大切なことは、自分として譲れない条件を明確にしてから探し始めることです。
ちょっと恥ずかしいのですが、うちが夫婦で旅行する場合のホテル選びの条件をお話しします。
ツインベッドであることです。

モロッコで泊ったリヤド(宿泊施設)
特に海外旅行中はいつも以上にしっかりと睡眠をとって、翌日に備えることが大切。ダブルベッドにいっしょに寝ると、振動が伝わるのか私は疲れがとれません。
パートナーとダブルベッドで眠りたい方は、もちろんそれを条件にしてくださいね。
要は、宿泊先の条件なんて人それぞれなので、明確に意識して探すことです。
治安と清潔さは日本人としては、ある程度譲れない部分です。
清潔さは口コミでチェックします。
国にも寄りますが、その都市で一番大きい中央駅周辺が、治安があまり良くない傾向があります。便利であっても、私は避けます。
「交通の便」は距離だけではわかりません。
観光の中心地まで歩けない距離であっても、バス停が近ければ私はOKです。バスはその国の普通の人たちの暮らしを垣間見ることができて面白いですね。
タクシーが安い国であれば、なおさら距離は気にしません。
中心から離れれば、当然ホテルの値段は下がります。朝に出かけて夜までホテルに戻らないのであれば、ホテルが安い分をタクシー代や食事にあてればいいと割り切ることもできます。
B&Bやキッチン付きのアパートも選択肢に。
宿泊できるのはホテルだけとは限りません。日本だって田舎の民宿の方がその土地の良さが味わえるように、外国でも民泊は魅力です。
1週間ほど同じ都市に滞在する場合には、キッチン付きのアパートが安くて広くて便利です。

エルサレムで泊ったアパート
イスラエルのエルサレムで泊まっていたアパートには、本当に小さなキッチンですが、あって便利でした。
毎日レストランで食べるより、たまにはお惣菜とワインで手軽にすます方が息抜きと節約に。たいていのキッチンには、ワイングラスとワインオープナーは置いてあります。
こんな気楽なところが、個人旅行で海外に行く楽しみのひとつ。

イギリスで泊ったB&B
上の可愛らしいお部屋はイギリスの田舎のB&B(Bed and Breakfast)。
オーナーの個性が出ますので、好みのインテリアやライフスタイルのおうちに出会えるといいですね。
観光したい場所やレストランなどの情報収集
航空券やホテルを予約できたら、現地での過ごし方を検討。
電車やバスなどを使って動くことが多いのですが、中には公共交通機関がないところも。
中東に行った時にはタクシーの運転手を雇ったこともあります。信頼できるドライバーを見つけるコツは、信頼できる良いホテルに泊まってフロント経由で依頼することでしょうか。
あるいは現地発のツアーも便利ですよ。
アイルランド旅行の際にVELTRAを利用しましたが、とてもよかったです。首都ダブリン観光で終わってしまうはずだったのですが、思いがけずアイルランドの美しい田舎の景色を見ることができました。
海外へ個人旅行で行く場合は、ツアーと違ってすべて自分の好きなようにまわれます。初めての場合は、行き当たりばったりよりはある程度計画を立てておくのがおすすめ。
ネットや雑誌で、観光したい場所やレストラン・カフェ・大好きな雑貨店の情報を集めます。私はこの作業は旅行の何ヶ月も前から少しずつ開始。出かける前から楽しいです!

Evernoteというアプリに情報をストックしておくと便利。そして、行きたい場所はすべてGoogle mapに保存しておきます。(全部に行くという意味ではなく、行ければ行きたいというレベルのところもあります。)
そうしておくと、旅先ではiPadやスマホを使って効率良くまわることができますよ。目的地への行き方は簡単に検索できますもの!
例えばイスラエルではヘブライ語なんてまったく読めませんが、バスに乗車。Google Mapで現在地はわかりますし、バス停の位置も出てますので、ちゃんと目的地で降りることができます。
お昼になればまたまたGoogleMapで現在地を確認して、自分がマークしていたレストランやカフェがもし近くにあれば立ち寄れます。
この方法ですと、「ああ、ついでにこの店にも行けばよかった!すぐ近くだったのに」とあとから悔しい思いをすることがありません。
老眼の私は長年iPad派。SIMフリーのiPadは本当に便利で、もう3つ目になります。 少々重くても、海外への個人旅行には欠かせませんね。 iPadがあればガイドブックや電子辞書は不要ですので、その分は荷物が減ります。
現地のSIMカードは、国にも寄りますが出発前に日本のAmazonで購入可能。現地の空港でも買えます。対面の店舗で買えばセットしてくれるけれど、慣れれば自分でSIMカードを入れて設定するのも簡単です。
スマホもSIMフリーのものを使っています。楽天モバイルの安いタイプですが、デュアルSIMと言って、2枚SIMカードをセットできるので便利。日本のものと旅先のものと2枚をセットして、画面上で切り替えて使います。
もちろん、GoogleMapは連動しているので、iPadで設定したものはスマホでも同様に確認ができます。場合によって使い分けです。
特に個人旅行の場合は、旅先でネットがつながるというのは本当に大事!北アフリカに行った時でさえ、GoogleMapで確認しつつ歩けるなんて、時代は変わりましたね。
その他いろいろ
上記以外にもいろいろな手続きや準備があります。
パスポート・VISA
渡航先によって、ビザが必要な場合があるので注意が必要です。
また、パスポートの有効期限は要チェック。渡航先によって、パスポートの残存期間がどのくらい必要かが定められています。
外務省のホームページによる情報をご紹介します。
海外渡航を計画し,いざ空港の航空会社の窓口でチェックインしようとした際,渡航先国で必要とされるパスポートの残存有効期間が不足していることがわかり,渡航をあきらめなければならないケースが発生しています。このようなことを避けるためには,お持ちのパスポートの有効期間満了日をご確認いただき,残存有効期間が1年未満である場合には,新しいパスポートへの切り替えをおすすめします(残存有効期間が1年未満となった段階でパスポートの切替発給申請が可能となります。)。
参照:mofa.go.jp
海外旅行保険

保険に入らないで海外へ個人旅行に出かけることは、私には考えられません。
国にも寄りますが、医療費は思いがけないほど高額です。そして、助けてくれる添乗員や旅行会社窓口はありません。健康面が気になる世代こそ、きちんと契約してから出発しましょう。
私はいつも、損保ジャパンの海外旅行保険をネットで契約しています。
帰国後に病院にかかったことがありましたが、本当にスムーズに保険金が支払われました。帰国後であっても、保険期間終了後72時間を経過する前に診察を受ければ大丈夫だそうです。
外貨の準備
渡航先によって、日本で両替した方が率がいい場合と渡航後に両替した方が率がいい場合があります。とは言え、最近はカードを使う機会が多いので、両替する金額も小さくて昔ほど率を気にする必要はありません。
カードのおすすめはソニー銀行のVISAデビット付きキャッシュカード。旅先では、自分の外貨口座から直接、ATMで外貨を引き出すことができます。
旅行に行きそうな国の通貨は、レートを見ながら好きなタイミングで購入しておけば大丈夫です。
外務省の「たびレジ」に登録
滞在期間が3ヶ月未満の海外旅行者や出張者は、滞在国で在留届の提出義務がありません。そのため、渡航先で緊急事態が発生した時に、あなたがその国に来てることを日本国大使館や総領事館が把握するのに大変時間がかかります。
渡航先で事件や災害が起きた時に、在外公館からの情報や援助はとてもありがたいことです。 特に海外に個人旅行で来ている人は公的機関とつながっておいて、情報から取り残されることのないように。ぜひたびレジに登録してから出発しましょう。
海外に個人旅行で出かけてみよう~誰でも初めての時がある!

チェコの可愛い街・チェスキークルムロフ
年齢を重ねていくと、ハードスケジュールのツアーのスピードについて行くのは大変です。
時間に余裕ができてきたシニアの方こそ、たっぷりと準備する時間がありますので、海外に個人旅行で出かけるのはおすすめです。
そして気ままな一人旅もいいですよね。

コメント